2018年11月号　感染制御チーム（ICT)

感染制御チーム（ICT）院内の取り組みについて

　近年、抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が世界中で増えています。現在、薬剤耐性菌による世界の死亡者数は年間70万人とされており、2050年には年間1000万人になると想定され、がんによる死亡者数を超えると言われています。このような事態を防ぐため国内外で薬剤耐性菌に対して様々な対策が行われています。病院などの医療機関においては感染症患者が多く、特に薬剤耐性菌には注意が必要となります。当院には、感染対策の知識・経験を有する医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師など11名で構成される感染制御チームが設置され、薬剤耐性菌を“生まない”そして“拡げない”ことを目的に活動しています。薬剤耐性菌を“生まない”、“拡げない”活動についてご紹介致します。
　まず、薬剤耐性菌を“生まない”ために重要なのは抗菌薬適正使用です。感染症に対して抗菌薬を投与し治療を行いますが、不適切な抗菌薬の使用は薬剤耐性菌を助長してしまいます。感染症をしっかり治療することに加えて、不必要な抗菌薬の使用を避け、耐性菌を“生まない”ように抗菌薬適正使用をサポートしています。
　次に、薬剤耐性菌を“拡げない”ために院内巡視を行っています。病院内の各部署を定期的に回り、患者様へのケアは適切か？医療器具や消毒方法は適切か？感染症患者への感染対策は適切か？など院内感染対策の徹底を促しております。
　薬剤耐性菌は社会的な問題でもあり、市民の皆様一人一人の意識が大切になります。処方された抗菌薬はしっかり飲みきる、抗菌薬は人にあげたり貰ったりしないなどの適正使用を心がけるとともに、手洗い（アルコール消毒）の徹底が薬剤耐性菌を防ぐために非常に有効となります。医療関係者だけでは感染対策は限界がありますので、市民の皆様と共に安心安全な病院をつくっていきましょう。　　“すべては患者様のために”
　感染制御チームは今後も専門知識を活かし活動していきたいと思います。