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 JA広報誌掲載記事

2020年10月号 骨関節疾患センター(整形外科)医師 藤井俊英

​サプリメントは膝の痛みに効く?

整形外科外来を受診する患者の中で多いのが膝の痛みです。膝痛の原因は多くありますが、高齢者の膝痛の原因は多くが変形性膝関節症です。変形性膝関節症とは長年の使用や負担、怪我などによって関節の軟骨が擦り減り、骨に変形などが生じ膝の痛みが起こる病気で、国内では約1000万人の患者がいると言われています。
それほど多くの患者が抱えている膝痛ですが、私が外来をしていてよく聞かれる質問の一つに「サプリメント(グルコサミンやコンドロイチン硫酸、飲むヒアルロン酸など)は効果があるのですか?」というのがあります。
サプリメントというのは日本では健康補助食品という位置づけになっております。つまり食品や栄養剤の一つであって、病院で処方されるような薬ではありません。だからといって全く効果がないわけではなく、グルコサミンやコンドロイチン硫酸に関しては軽度の膝痛や、初期・中期の変形性膝関節症に対しては一定の効果が認められるという報告もあります。実際に海外では変形性膝関節症の治療薬として医薬品として採用されている国もありますし、変形性膝関節症のガイドラインでも「グルコサミンやコンドロイチン硫酸の投与は変形性膝関節症の患者の症状を緩和させる可能性がある。6か月以内に効果が見られなければ投与を中止する。」となっています。
サプリメントは軽度の膝痛には一定の効果があるかもしれませんが、強く勧める治療ではないというのが現状です。変形性膝関節症の治療に関しては運動療法(筋力トレーニングなど)、薬物療法(内服や注射)、手術(人工関節置換術など)といったより推奨度の高い治療もあるので、サプリメント内服で効果がなければ漫然と使用するのではなく、整形外科受診をご検討ください。

 

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