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2021年9月号 骨関節疾患センター 医師 藤井俊英
肩の痛みにヒモを使った簡単な体操
整形外科外来を受診する患者の中で多い愁訴の一つが肩の痛みです。その中でも五十肩という疾患を抱えている患者は数多くみられます。五十肩という名前はよく知られておりますが、実は詳しい病態は解明されていないことが多く、「中年以降に好発し、明確な病態診断をつけることが出来ない疾患群」と定義されています。つまり診察やレントゲンやMRI等の検査を行い、様々な疾患を除外した中高年の肩の痛みを五十肩と呼ぶということです。明らかな損傷がないので当然なのですが、五十肩の治療は運動や内服等の保存療法がメインとなります。その中でも運動療法は大事であり、私がよく勧めている方法としてヒモを使用した簡単な体操があるので紹介させていただきます。紐はなんでもいいのですが、肩幅より少し広いくらいの長さで輪を作り、その輪を両方の手首にかけてピンと張ります。キツ過ぎずユル過ぎず、いい塩梅で張ります。その張りが失われないように両手の上げ下げを行います。1日3回で1度に20回を目安に行うといいでしょう。この体操は五十肩だけでなく、肩こりや腱板断裂の方の運動療法にも勧めていますが、これだけで肩の痛みや可動域制限が改善する方もいますので、試してみる価値はあると思います。実際に私も肩こりを感じた時には行ったりしています。しかしこれだけでは改善しない方も数多くおりますので、改善がなければ整形外科外来を受診してください。運動療法(筋力トレーニングなど)、薬物療法(内服や外用剤、注射)、手術といった治療を検討させていただきます。