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2019年4月号 副院長 松澤純
野に生える菜にご用心
消化器病センター開設1年目を迎えて
あがの市民病院長 藤森勝也
2018年(平成30年)4月に消化器病センターを開設し、常勤消化器内科医2名と、消化管の内視鏡検査を援助していただく医師4名、計6名体制で、消化器病センターを開設いたしました。腹痛、悪心、嘔吐、胸焼け、食欲不振、便秘、下痢、吐血、下血などの消化器症状や食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆嚢・膵臓などの各種疾患に対応いたします。また、同年10月から、経鼻内視鏡システム(鼻から挿入し、挿入時のつらさや検査中の嘔吐感があまり気にならず、検査中も会話可能)を導入し、負担の少ない食道・胃内視鏡検査が受けられます。多くの方にご利用いただきたいと願っております。
当院消化器常勤医で副院長の松澤先生には、「食べ物で、消化器症状」を呈する「食中毒」にご用心との文章を書いていただきました。
「野に生える菜にご用心」
あがの市民病院 副院長 松澤 純
ようやく春の到来を五感で感じる時季になりました。
春を実感すること…個人的には、萌える薫り、を味覚で楽しむ春の山菜は外せません。ふきのとう・たらの芽・こしあぶら、今から待ち遠しいです。(現在1月下旬)
以前、山間部地域の病院に勤務していた頃…「山菜の天ぷら盛り、この時期はこれしか食べていませんわよ」と誇らしくおっしゃるご婦人がいらっしゃいました。体重増加が更新していました。野に生える葉だからと油断しがちな山菜、みなさまはご注意ください。
さて、春先になると毎年のように耳にするニュースがあります。そう、それが今回の主題です。ピンときた方もいらっしゃるでしょう。そうです、水仙(スイセン)です。水仙の葉とニラの外観を見比べると、区別がつかないほど似通っています。植物に詳しい人でも遠目からでは見分けることは困難だそうです。
この水仙の葉をニラと間違えて食べてしまうと、嘔吐・下痢といった食中毒症状や頭痛・発汗などを引き起こします。ひどい場合には、昏睡状態に陥ることもあるそうです。食べてから30分以内に症状が現れます。毒成分はその性質上、加熱しても毒素は消えないそうです。
食中毒を起こさないよう、これらの見分け方を紹介します。
- (1)匂い:それぞれの葉をちぎって匂いを嗅いでみます。ニラはツンとした特有の匂いが漂いますが、水仙はほぼ無臭です。
- (2)葉と茎の形状:よく観察すると水仙の葉は幅がより広めで厚みがあります。ニラと比べると葉は大きく茎も太いです。
- (3)根っこ:根っこを引き抜いてみましょう。球根が付いていればそれは水仙です。ひげ根であればそれはニラです。
以上の点に気をつけて、ニラ玉・レバニラをおいしくいただきましょう。