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2021年7月号 消化器病センター 医師 大脇 崇史
ご挨拶と脂肪肝のはなし
今年度より消化器病センターに赴任しました大脇崇史です。地域の医療に貢献できるよう努めます。よろしくお願いします。
生活習慣の欧米化に伴い、増えている脂肪肝。今や日本人の約3人に1人が脂肪肝と言われています。お酒の飲み過ぎはもちろん、食べ過ぎや運動不足といった不規則な生活が原因となります。脂肪肝は、肝硬変や肝細胞がんに進行する恐れがあるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中の発症にも関係することが分かっています。見つかった時には、すでに手遅れとなっていることも少なくありません。
そんな脂肪肝ですが、まだまだその怖さが知られていないのが現実です。肝臓は“沈黙の臓器”とも言われ、初期の段階では自覚症状が無いことも相まって、放置してしまう人がたくさんいます。
脂肪肝の病態形成には、複数の要因が関与していると言われており、いま現在、脂肪肝を治す薬はありません。私は大学院で、脂肪肝モデルマウスを用いて、自律神経や消化管ホルモンの関与についての研究を行っていました。新たな治療薬の開発に貢献できることを願っています。
特効薬はありませんので、生活習慣の改善、すなわち、食事療法や運動療法が治療の主体となります。しかし、すでに習慣化してしまった食生活や運動不足を、すぐに変えるというのは、なかなか大変なことです。なので、脂肪肝をなるべく早い段階で見つけ出し、介入していくことが重要です。当院では、肝臓内の脂肪量や肝臓の硬さを測定できるエコー機器を導入しており、痛みを伴うことなく、安全に肝臓の評価をすることが可能です。興味のある方は是非ご相談下さい。
地域の皆さんと一緒に、健康寿命の延伸について考えていきたいと思います。